白川優子さん著「紛争地の看護師」を読んで

国境なき医師団の看護師である、白川優子さんの「紛争地の看護師」を読みました。

3年前ぐらいに始めて読んだ本で、今に至るまで私にも影響を与え続けている本です。今回また読み直しました。

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著者の白川優子さんは国境なき医師団の看護師として、紛争地を中心に何度も派遣されています。

国境なき医師団(MSF)は、国際NGOの中でも最も危険な場所を含めて活動する団体の一つです。紛争地や難民キャンプなど、様々な、医療が必要とされる場所で医療活動をされています。

本の中では、国境なき医師団になるまでの過程や、実際の現場でのリアルな体験をかかれています。

国境なき医師団のSNSやコラムを読んだり、ホームページをみて活動はなんとなく知っていました。

でも、実際に過酷な現場で活動された人のことばで語られるエピソードは、あまりにも恐ろしくて、一つ一つに衝撃を受けます。

次々と怪我をした患者が運ばれてきて、何の罪もない人たちが、十分な医療を受けられずに死んでいき、手術をして助かっても手足を失ったり、麻酔から覚めたらその現実や家族がなくなった現実に向き合わなければいけません。

現地では身体だけではなく心の傷にも向き合いながら活動されています。

守られるべき病院でさえも攻撃の対象となってしまう不条理もあります。戦争による被害を受けるのはなんの罪もない人たちで、必死で負傷者の治療にあたっている間にも、病院の上空を、人を殺しに行く飛行機が毎日行きかっているなんて、本当にやるせないだろうと思います。

家族や恋人との時間や、日本での安全な生活を犠牲にして、使命感・正義感をもって自ら紛争地に出向いていく白川さんの体験は、すごく考えさせられるものがありました。

過酷な現場で活動されている国境なき医師団の皆さんに心から敬意を表します。

自分のキャリアを考えるうえでもすごく刺激を受ける本です。

国境なき医師団に参加するには経験年数も語学力(英語とフランス語)も不十分で、熱帯医学の知識が必要だったり、手術室看護師の経験が必要だったりと、ハードルはかなり高いです。

でもこの本を初めて読んだとき、絶対的に医療が必要なのに医療が届かない/届きにくい場所で、医療活動をしたい。その活動を通して憎しみの連鎖を少しでも止めたい。という気持ちが明確になったのを覚えています。

国際協力の中の様々な分野の中で、看護師というスペシャリティを選んでよかったのかと思っていた時期もあったけど、この本や他の白川優子さんの記事を読んで、身体的にも精神的にも関われる看護師という職業だからこそ出来ることがあると思うようになりました。

医療従事者や国際協力に関わっている人だけじゃなくて、すべての人に読んでもらいたい本です。

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コメント

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